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第2章:品評会「

今回のホステス役を買って出てくれたれいんさんに感謝



 2003年8月17日日曜日。
 小雨がぱらぱらと天から降る中、MILETとBOBは鎌倉への道を急いでいた。
 真っ赤なニュービートルターボも、心なしか寒そうである。
 
 湘南モノレールの某駅の真下に着いたとき、MILETは携帯電話に手を伸ばした。電波
状況が悪いのか、なかなか電話が繋がらない。
 少々苛ついたMILETの耳に、唐突に声が飛び込んできた。
 
 「はい。もしもし」
 
 MILETは眉根を寄せた。たしか電話した先は今日の目的地、れいん邸だったはずだ。
しかし、電話の声は…一体?
 電話の主はすぐさま本日のホステスであるれいんに、電話を渡したらしい。受話器か
ら元気な声が響いてきた。

 「いま、丁度西瓜を収穫したところよ」

 「すぐ近くまで来ているんです。すぐに、伺いますね」

 MILETは電話を切ると、BOBへ視線を飛ばした。

 「西瓜、ちょうど採ったところだって」

 「もうすぐ着くはずだよ」


 鎌倉らしい、カーブの続く上り坂を登り切ると、目的地であるれいん邸にまもなく着い
た。
 呼び鈴を鳴らすと、玄関の扉が開いた。

 「はーい」

 出てきたのはれいんではなく、風千だった。とりあえずクルマにあった荷物を手に取る
と、MILETは再び玄関に戻った。今度はれいんが迎えてくれる。

 MILETとBOBが部屋に通されると、そこには既に今日のメンバーが揃っていた。
 すべて女性ばかりである。覚悟していたであろうに、やはりBOBは緊張の面もちだ。
 メンバーはホステスのれいん、西瓜女王コンテスト参加者である風千、みょう。審査員で
あるしろママ、そして「野次馬」を自称するテレサ、サクリン、しまちゃん、コンテストの
賞品を提供した、いわば「スポンサー」の一人である千早。それにMILETたちと総勢10名だ。
 メンバーに紹介され、MILETとBOBはぺこりと頭を下げる。だが、既に二人の意識は、目の
前に並べ立てられたご馳走に奪われていた。

 「あの、これ。デザートで」
 
 MILETはおずおずと手土産の袋を手渡した。
 それを合図にしたかのように、宴会は始まった。


 何しろ女性ばかりの集まりである。口が休まるときなど、ひとときもない。
 食べている時以外は、しゃべり続けである。普段は話好きのBOBも、今日は出番が殆どなさ
そうだ。

 ふと、どういったわけか、「猿が襲うのはどういった人間か」という話になった。

 「女子供は狙われるらしい」
 
 誰かがそういった。その言葉を引き取って

 「私が猿だったら、真っ先にみょうさんを狙うなー。次はしまちゃんかな」

 テレサが真顔でそういった。

 「なんで?」
 
 「野性のカンってやつ?」

 「じゃ、襲わないのは?」

 「うーん。そうね。MILETさんはね、なんか怖いってカンジするわね。野性のカンで」
 
 野性のカンと言う言葉に、一同は爆笑した。
  
 「猿一番人気は、みょうさんねー」

 MILETも笑いながらそういう。それでも、口に含んでいた和風ミートローフを吹き出さないの
は、根っからの「卑しい系」だからだ。

 「猿って言えば。箱根の猿に襲われたことがある」

 今まで黙っていたBOBが、おもむろに話し出した…


つづく…(おい)
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