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第2章:品評会「第6話「見よ!勇者は帰る」」 | ||
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デザートも食べ終わり、さて、お開きと言う時間になった。 「誰か駅までの道が分かる人〜?」 と、誰かが聞いた。MILETとBOBはクルマであるから、その「誰か」には含まれてい ないようだ。 元気良く手を挙げたのは、みょうだった。 「はいはい。わたし、分かります〜」 しかし、誰もその言葉を信用していないようである。 「ね、れいんさん。駅までの道を教えてくれる〜?」 「うんとね。玄関出たら、右方向に行って…8本目の路地を右折するの…」 れいんの説明中も、みょうはアピールしている。 「私、前にも来たし、分かりますよぉ」 「ホント?じゃ、みょうさんにくっついて行って、帰りましょうか」 みょうの言葉を真に受けた誰かが、気楽にそう言った。しかし、みょうのことを良く 知る者が、口を挟む。 「不安だなぁ。鎌倉で遭難するなんて、いやよー」 「今日中に、駅に着くかしら〜」 そう。みょうはいっそ、芸術的と言って良いほどの方向音痴なのである。 「みょうさんについていったら、パーティー全滅しちゃうよー」 誰かが、不吉なことを言う。そんなわけで、誰もみょうのことを信用せず、己のこと は己で、という信念の元に、尚一層れいんの道案内に、耳を傾けたのであった。 こうして「西瓜品評会」という建前の、大宴会は終わりを告げた。 MILETとBOBは、ニュービートルターボを軽快に走らせていた。カーブの続く山道を 下り、海に向かってひた走る。 ふと、MILETは不安そうな顔で呟いた。 「みんな、ちゃんと駅まで辿り着けるかなぁ」 「うーん?大丈夫だろう?みょうさんにくっついていかなければ」 BOBの答えに、MILETは頷く。 「そうだねー。あ。ここまで来たから、龍口寺のお煎餅屋さんに寄ってこうよ」 「おー、そうだなー。あそこの煎餅は旨いもんなー」 …無責任夫婦。 END |
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